前回の展示会に出した新作で、「萩の黒玉」ってぇのがありまして、それは簪にしたんです。すぐに気に入ってお買い求めになったお客さんがおられまして、帯留めはできねぇかと。
この簪も相当苦心をいたしまして職人が作ったんですが、同じ柄でもって帯留めとなるとどうかなと。実はその簪も失敗を繰り返して、かなりのものがオシャカになっちまったなんてぇ話を聞いておりましたんで。ま、それでもお客さんの意向ってぇ事であれば、職人に言わざるを得ない。
その場ですぐさま職人へと電話をしますってぇと、大変ではあるけれども、お客さんが喜んでくれているのなら、ぜひとも作らせてもらうと。それを聞きまして、あたしもちょいと胸を撫で下ろした。お客さんはもちろん喜んでおりまして、出来上がりますれば連絡をさせていただくってぇ約束をいたしました。で、先だって届いた。
かわいらしい出来栄えに、これならとお客さんへ連絡が出来ますな。どんな帯を飾ることになるんでしょうか、ぜひこの帯留めをつけているところを見たいものだなと思いますな。大変なことではありましても、お客さんが喜んでくれるのならとがんばってくれた職人には感謝であります。こういう人たちに「ぶん屋」は支えられております。
(職人は、しばらく帯留めは作らないといっておりました。大変だったんだな)