ぶん屋の抽斗 （旧）

ここのところ愛知県は鳳来町にある愛知県民の森へよく行っていたんですが、向かう道筋で目にした「阿寺の七滝」の看板。どんなとこなんだろうと気になっておりまして、巡ってみることにいたしました。151号線湯屋温泉近辺の交差点を山のほうへと入りまして20分ほど、曲がりくねった山道の向こうに大きく開けたところに駐車場がありまして、意外とわかりやすい。

車を停めますと、売店のような建屋があるんですが、これは閉鎖されておりました。おそらく冬季の間は営業をしていないんじゃないかなと。小さな橋の袂には駐車料金を徴収する小箱がありまして、無人の料金箱であります。なんだかほほえましいなと。最もこんなところまで来て盗みを働く者もいないんでしょうが、駐車場の維持のためにと書かれてある小箱へ指示された300円を入れまして山道へと入ることにいたしました。

舗装された坂道を登っていくんですが、その時点でも左脇には轟々と流れる水の音がいたしまして音を聞いているだけでも気持ちがいい。やがて平坦な山道に出ます。この日は小ぬか雨が降っておりまして、傘も差さずに歩いたんですが、うっそうとした森は静寂の世界。ああ、森にいるんだなと気持ちが清清しい。










苔むした杉の大木を何本も通り過ぎて歩くんですが、なんだか神秘的な場所でして女房と二人していいところだなと。横を流れる川の水の音、木々の葉や苔に取り付いた雨粒、ひんやりとした空気、これらすべてが気持ちいい。案内看板に誘われるように奥へと歩いていきますってぇと、ちょいと開けた場所に出た。その奥へ入っていきますと、ありました。阿寺の七滝が。










「七滝」ってぇからには七つの滝があると思っていたんですが、そうじゃなくって一本の滝が七つに折れながら落ちているってぇことなんです。これがね、なんだか優しい風情でもって神秘的でした。滝の横には鉄で作られた階段がありまして、滝の中腹までいけましてこの眺めもいい。

この滝は、全長62メートルで約40メートルの落差があり、水がここを流れ落ちる間に水圧によって岩が削られた甌穴（おうけつ：ポットホール）を持ち、七段の滝を作り上げているところに名前の由来があります。上段から、２ｍ、４ｍ、２ｍ、２６ｍ、８ｍ、１３ｍ，９ｍの七段の流れになってるとのことです。（ちょいと他所のコメントを拝借しちまいました）

女房としばらく眺めを楽しみまして帰路へつくことにしたんですが、あたしも女房もすっかりここが気に入りまして、またこようじゃねぇかと。で、そのまま東へと向かって渋川へ抜けようと思っていたんですが、どうやら近くに「百間滝」てぇのもあるらしい。せっかくだから行ってみようじゃねぇかってぇことになりまして向かうことに。

渋川の町へ向かう手前、佐久間へ向かう交差点へと出るんですが、それを渋川方面とは反対の佐久間方面へ向かいましてすぐのところに下へ下る道がある。これを降りて行くますってぇと、車一台がやっと停めることのできるスペースがありまして、そこへ車を停めまして下を覗き込みますってぇと、ずっと下へと続く階段がある。ちょいと膝が心配でしたが、くだりの道の入り口には、たくさんの手作りの杖が置いてありまして、それをばちょいと拝借することにいたしました。

結構きつい落差の階段ではありますが、森の中を下ってまいりますってぇと、目の前に大きな滝がいきなり現れる。こいつぁすげぇ。ダイナミックとしか言いようがない。丁度滝の中腹あたりへ出まして、しばらく見とれた。まるで吸い寄せられるような水の落下でして、先ほどの阿寺の七滝と見比べてもこちらの滝は雄々しい。










途中曲がっていることもありまして、滝の全貌を映すのは難しく、ましてやあたしのコンパクトデジカメでは迫力もうまく伝わらない。これは実際に行って見てもらったほうがいい。雨の中呆然と立ち尽くすような迫力でありまして、この中腹からさらに下へと降りる階段がありまして、それを下っていく。下から見上げる滝の水量は多く、まさに轟々と響いて水の飛沫も飛んでくる。













幾筋にも分かれた滝の上部から、それをひとつにまとめて力強く落ちる滝であります。しばらく雨が降るのも忘れて立ちすくんでおりました。雨の日の滝巡り、ちょっとはまりそうでありますな。

（いい休日だった）