春はきぬ
春はきぬ
初音やさしきうぐひすよ
こぞに別離(わかれ)を告げよかし
谷間に残る白雪よ
葬りかくせ去蔵(こぞ)の冬
春はきぬ
春はきぬ
さみしくさむくことばなく
まづしくくらくひかりなく
みにくくおもくちからなく
かなしき冬よ行きねかし
春はきぬ
春はきぬ
浅みどりなる新草(にひぐさ)よ
とほき野面(のもせ)を画(えが)けかし
さきては紅(あか)き春花よ
樹木の梢を染めよかし
春はきぬ
春はきぬ
霞よ霧よ動(ゆる)ぎいで
氷れる空をあたためよ
花の香おくる春風よ
眠れる山を吹きさませ
春はきぬ
春はきぬ
春をよせくる朝潮(あさじほ)よ
蘆(あし)の枯葉を洗ひ去れ
霞に酔える雛鶴よ
若きあしたの空に飛べ
春はきぬ
春はきぬ
うれひの芹(せり)の根を絶えて
氷れるなみだ今いづこ
つもれる雪の消えうせて
けふの若菜と萌えよかし
-島崎藤村 「若菜集」より-
コメントいたします。
綺麗な映像に心洗われます。
島崎藤村 いいですね。
「たもとににほう梅の花」
誕生日が同じかな
大黒屋さん
おっしゃるとおりあたしは島崎藤村と誕生日が同じなんです。
ま、あたしの場合藤村のようにロマンチストでもなんでもないんですが。
わはは
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