今朝方もちょいと雨が残っておりまして、女房を会社へと送る約束を。で、ゆっくりと朝餉の食卓へと付くことにいたしました。今朝方の雨を見て送っていこうか?と聞いた時に女房はとても嬉しそうでありまして、目玉焼きがいいといったときにはなんだか気合が入っているのがわかる。
朝餉の味噌汁はいい香りがしておりまして、一口いただきますってぇと、すっと胃の腑へ落ちていきまして前身にしみ渡るようでありますな。難をいえば青唐辛子のやる気のなさでありますが、ま、こいつには期待をしないほうがいい。こういう食べ物だと割り切っていただかないとやるせなさがつのる。
「お待ちどうさま」
「おおっ、完璧な柔らかさじゃねぇか」
「これくらいが好きな柔らかさですよね」
「ああ、間違いねぇ」
「これ以上硬くてもゆるくてもだめなのよね」
「ああ、その通りさ」
女房はちょいと自慢げに鼻を膨らませておりまして、どうだと言わんばかりであります。ま、そんなところも可愛らしいんですがね。あたしが目玉焼きを好きなことを知っておりまして、女房としても気を使って焼いているようでありますな。ここの所特に完成度が高くなりまして、免許皆伝だなと。
朝の忙しない時間に洗濯やら何やらとこなしまして、朝餉を作る。自分の身支度をして会社へと行く毎日であります。いや、他所の奥さんたちも同様で何も女房だけが特別だなんてぇことじゃないことはよく知っておりますが、他所様と比べてもそれは仕方のないことでありまして、てめぇがやれるかどうかを考えたほうがいい。
偉そうに言っても甲斐性がねぇんだから仕方がない。表で奥さんを連れまして威張っている旦那さんを見かけることがありますが、あれは威張る振りをして甘えてるんだなと。旦那衆、還暦過ぎて女房に逃げられたら、おまんまも作れないってぇことになりますぜ。ま、そういう駆け引きなしでも、惚れた女房じゃありませんか、日ごろから労わってやんなくっちゃね。今朝もおいしい朝餉をありがとう。
(朝餉が美味いってぇのは、いい一日が送れますな)