週末になりますってぇと、菩提寺へ墓の掃除へ行くんですが、
東の坂を上り詰めた脇にある木蓮の木には、白くて大きな花が一杯。
よくみますと、綿毛を破って出たばかりの花蕾もありまして、なんとも
自然というものはすごいとしか言えない。季節をちゃんと分かっており
まして、その時になれば必ず花を咲かせるんですな。
来る度に、墓石を水洗いいたしまして、布巾で拭き上げまして、
花を換え、線香を上げるんですが、真冬のそれとは違いまして、
水も温んでまいりましたな。
「春黄金花」の別名を持つサンシュユが、可憐な花をたくさんつけておりまして、
春風に揺れております。この花の名を教えていただいてからは、以前よりもこの
花に、より一層の愛着を感じるようになりまして、名を知るということは大事なんだなと。
これはユキヤナギ。小さな白い花がたくさん寄り添っておりまして、やはり可憐。
色のない、閑散とした冬を越えまして、春がやってきたんだなと実感いたしました。
親父が逝きましてから五度目の三月を迎えまして、今月の十九日には五回忌に。
花屋で見つけたフリージアを墓前へと捧げました。
「親父、春が来たよ」
今月にはあたしも五十二を迎えます。
同じ歳の頃の親父は、あたしの目にはやはり大きく、偉大でありました。
果たして、あたしはそんな風に成れているんだろうかなと、愚問でありますがね。
春の空のように優しい親父でありましたよ。
(道は遠いなと)